「公務員保健師は安定している」
「専門職だし、やりがいがある仕事」
そう思って入庁したのに、
気づけば 「辞めたい」 という言葉が頭から離れなくなっていませんか。
私自身、行政の現場で長く働く中で、
多くの保健師が心身ともに消耗していく姿を見てきました。
これは、
根性が足りないからでも
向いていないからでもありません。
公務員保健師という仕事そのものが、かなり無理のある前提で回っている
──それが現実です。
この記事では、
現場で実際に起きていることをもとに
「なぜ公務員保健師は辞めたいと感じやすいのか」を
きれいごと抜きで書いていきます。
公務員保健師が「辞めたい」と感じる主な理由
① 保健師なのに、事務仕事が異常に多い
行政保健師というと、
住民の健康支援や相談対応が中心だと思われがちですが、
実際には事務仕事の比重が非常に大きいです。
- 予算要求・予算管理
- 実績報告書の作成
- 会議資料・説明資料づくり
- 膨大な記録作成
特に大変なのが予算関係。
事業を回しながら、
「この事業にいくら使っていいのか」「どこから財源を持ってくるのか」を
常に考えなければなりません。
専門職として学んできたことよりも、
役所特有の事務処理能力が求められる現実に
ギャップを感じる人は多いです。
② 重たいケースは、基本的に保健師に集まる
行政の中で、
精神的に一番重たい案件を抱えやすいのが保健師です。
- 虐待が疑われるケース
- 精神疾患を抱える家庭
- 生活が破綻しかけている世帯
関係機関と連携はしますが、
現場対応や判断の中心になるのは保健師。
「何かあったら自分の責任になる」
このプレッシャーを常に背負いながら働くのは、
想像以上に消耗します。
③ 地区担当制で、責任が個人に集中する
行政保健師には地区担当制があります。
地区ごとに担当保健師が決まっており、
その地区のことは
担当者がすべて把握しておく前提で仕事が進みます。
- 地区の住民状況
- 支援が必要な家庭
- トラブルの経緯
人手不足でも、業務過多でも、
問題が起きたときにまず対応するのは地区担当。
「知らなかった」「引き継ぎがなかった」は通用せず、
責任だけが個人にひも付けられる仕組みになっています。
仕事が終わっても頭から地区のことが離れず、
心が休まらない原因の一つです。
④ 女性が多い職場特有の、人間関係のしんどさ
行政保健師の職場は、
女性が圧倒的に多いケースがほとんどです。
閉鎖的な環境の中で、
- 噂がすぐ広まる
- 表では穏やか、裏では評価が下がる
- 空気を読めないと浮く
いわゆる「大奥」的な空気に疲れてしまう人も少なくありません。
仕事の中身以上に、
人間関係で消耗してしまうことも
「辞めたい」と感じる大きな理由です。
⑤ 外に出る仕事が多く、残業が当たり前になる
訪問や出先での対応が多いため、
記録作成や事務作業はどうしても定時後になります。
- 訪問記録
- ケース記録
- 報告書作成
勤務時間内に終わらせるのはほぼ不可能で、
残業が常態化。
それでも
資格職なのに資格手当はない
責任に見合った待遇とは言えない現実があります。
⑥ 異動が避けられず、仕事を一から覚え直す負担
公務員である以上、
異動は避けられません。
しかも、
- 虐待対応の部署から
- 突然、保育園や母子保健の部署へ
といった、
業務内容が大きく変わる異動も普通に起こります。
これまで積み上げた経験がリセットされ、
また一から人間関係・業務・制度を覚え直す。
精神的に追い込まれているタイミングでの異動は、
追い打ちになることもあります。
それでも「辞められない」と感じてしまう理由
- 公務員だから安定している
- 辞めたら後悔するかもしれない
- 周りに辞めた人がいない
こうした理由で踏みとどまる人は多いです。
でも、
今のつらさを我慢し続けることが正解とは限りません。
辞めた保健師のその後(実際に見た例)
私の周りでは、
自治体の保健師を辞めて
児童発達支援の事業所に転職した人がいます。
給料は少し下がりましたが、
- 専門性を活かせる
- 異動がなく、仕事を覚え直す必要がない
- 働き方がゆるく、精神的にかなり楽
と話していました。
「毎日不安を抱えながら働くより、今の方が幸せ」
その言葉が、とても印象的でした。
今すぐ辞めなくてもできる、現実的な選択肢
ここまで読んで、
「やっぱり辞めたいかも…」
「でも、すぐには無理」
そう感じたなら、
まずは情報収集だけでもしておくのがおすすめです。
- 自分の資格がどこで活かせるのか
- 他の職場の働き方や待遇
- 公務員以外の選択肢
これを知るだけでも、
心の余裕は大きく変わります。
まとめ|あなたが悪いわけじゃない
公務員保健師が辞めたいと感じるのは、
- 仕事量
- 責任の重さ
- 人手不足
- 制度の限界
これらが重なっているからです。
あなたが弱いわけでも、
逃げているわけでもありません。
選択肢を知ることは、甘えではなく自分を守る行動です。

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